スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

オケラ (作者:えりんこ)

オケラ 【2】

そして今日も7時。いつものように自治会館へと急ぐ。

「あー今日も遅刻かなー」

そう言いながらも走った。

いつもは付いているはずの電気。消えている。

「あれ、今日師匠休みだっけ?ま、いっか!」

「ごめんくださーい!」

勢いよく引き戸を開ける。

青臭いにおいと長年のタバコのニオイが染みついた部屋。

「ししょー!どこですかー?」

しかしどこにもいない。

「アキー!どこー!」

いつもは来ているはずの亜希子の姿もない。

「あら?どうしたんだ?二人して…」

「まさかのデート!?俺は許さんぞ!…ってなんでこんなこと言ってんだ
か…」













「デートじゃないよ♪」











「あれ?アキいるの?」











「うん、ここ!」








「ったく、出て来いよ。」





すると、何かに腕をつかまれた。


ものすごい力で


この腕を引きちぎるくらいの大きな力で


「い、痛い!痛い!お前、アキじゃな…」


駆はあとかたもなく消えた。


外はすっかり暗く、蛾も明かりにたかっていた。

えりんこ 著