スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

群青 (作者:金魚)

群青 【8】

次の日、事務所に行った俺は、
あいさつしても、何をしゃべりかけても、
何一つ返ってくる声はなかった。


ただ、背中に突き刺さる批判の言葉と冷たい視線が少し痛かった。

ふいに上の奴らが、わざと俺にぶつかりって来た。
俺はその場に倒れこみ、

そいつ等は

「あー、わりぃわりぃ、よそ見したらぶつかっちゃっいましたぁ。
 だって昨日いなかったじゃないですかぁ。それにあぁんなでかい態度
 を取れるお人がなんでこんなトコにいるんですかぁ?」

と言いながら俺の手を思い切り踏みいじってきた。

「うっ」

痛む手を押さえてたら、血がにじんでいた。
奴らは軽蔑の笑い声を残して去っていった。
 
俺は奴らのことなんか全く気にしなかった。
今日は
覚悟を決めてここに来たのだ。

俺は進むべき場所へと向かった

今、その場所に立った瞬間、足が震えた。
でも決めたんだ。引き返すことなんかしない。

俺は大きな深呼吸をすると、手に力をこめて
目の前のドアのノックした。




目の前のドアには、
「組長室」
と、でっかく書かれていた。

金魚 著