便秘の科学(その1)・便秘になる原因と対策

便秘の科学(その1)

便秘とダイエットの関係

ダイエットの方法によっては、便秘の原因になる場合があります。
例えば、「朝食抜き」は、便秘を招く大きな原因になります。私たちの体は、「起床→朝食→便意」というリズムを持っているので、朝食を抜くと便意が起こらず便秘になります。
また、食べる量が少ないすぎるのも問題となります。 特に食物繊維が足りないと、スムーズな排便は望めません。 ダイエットをしている人は、どうしても通常の人と比べて、食事の量が少なくなりがちです。 そんなときは、食物繊維を多めに摂取することを心がけてください。


便秘に神経質になりすぎない

便秘を訴える人の腹をエックス線撮影を行ってみると、便秘というほど、便はたまっていないことが多いです。 つまり、便秘と思い込んでいるだけで、実際には便秘というほどではない人が多いということです。
毎日排便がないからといって、あまり神経質にならないことです。 たとえ排便が1週間に1回しかなくても、本人に何の不快感もなければ便秘といいません。 
正常な排便かどうかという基準は、お通じの回数や量で決まるものではなく、その人の感受性によるところが大きいのです。
たとえば、腸内に同じ量の便がたまっていたとしましょう。 それを不快と感じ取る人もいれば、何も感じない人もいるのです。 あまり排便にばかりとらわれず、「1週間出なくても平気な人はいっぱいいるんだ」と気を楽に持ちましょう。 ただし、4日以上出なくて、出るときには、便がすんなり出なくて便が硬くなっている場合は、やはり便秘といえるでしょう。 
(すんなり出て、出た後すっきりするようであれば便秘ではありません)
そんなほんとの便秘の人の為に、便秘にならない為に、このサイトで、いろいろ勉強していきましょう。

女性に便秘が多いのはなぜ!?

女性の方が便秘になりやすいことは、よくいわれていることです。
このことは、厚生省の調査などでも明らかです。 平成8年に行われた事業所の健康診断での下痢、便秘、腹痛の自覚症状調査では、男性が18.8%、女性が27.2%です。 また、病院に訪れる患者数の調査においても女性は、男性の2倍以上の患者がいるようです。
それでは、なぜ女性の方が便秘になりやすいのでしょうか? それを紐解いていきましょう。
女性は、毎月、排卵と月経を繰り返していますが、これをコントロールしているのは、主に黄体ホルモンと卵胞ホルモンという2つの女性ホルモンです。 このうち、黄体ホルモンには、大腸のぜんのう運動を抑制する作用があります。 そのため、女性は黄体ホルモンの分泌が活発になる「排卵から月経までの時期」は、便秘になりやすいのです。
さらに女性の場合、男性よりも筋力が弱い為に、胃や内臓が下垂している人が多く、大腸のぜんどう運動も弱いといえます。 それに加えて、食事の量も一般的に男性に比べると少ないため、便の材料が少なくなりがちなことも便秘を引き起こす原因となります。 さらにダイエットしている人が女性に多いのも要因の一つです。


排便の科学

食べ物が大腸の中を運ばれ、便ができていくのは、大腸の「ぜんどう運動」によるものです。 
ぜんどう運動とは、腸壁の筋肉がみみずが這うときのように順次収縮して、食べ物を絞り出すように先へ先へと送り込んでいく運動のことです。 食べ物は、大腸の中を移動しながら、しだいに便へと形を変えていきます。
小腸から送られてきたばかりの食べ物は、液状ですが、大腸を進むにつれて粥状になり、最後に直腸にたどりつく直前のS字結腸で、さらに固まって便となります。 その為、直腸に便が長く留まっていると、さらに便が硬くなり便秘となります。
直腸に達した便が、何の前触れもなく勝手に肛門から押し出されてしまったのでは、困ったことになります。 そこで排便が起こる前には、必ず「便が出ますよ」というサイン、すなわち便意が起こります。 
このお通じのメカニズムには、自律神経が深く関与しています。 内臓間には、たくさんの自律神経が張りめぐらされており、信号を送りあっています。 大腸を通過してきた便が、直腸に到達すると、直腸の壁が刺激されて、「便が到着しました」という信号が、神経を通って大脳に送られます。 ここで初めて便意が起こります。
一方、直腸は、結腸にも同様に信号を送ります。 すると結腸は、活発な運動を開始し、直腸へさらに便を送りこもうとします。 これを「直腸・結腸反射」といいます。
さらに、食べ物が胃の中に入ってきて、胃が膨らむと、胃から大腸に信号が送られます。 これは、「胃・大腸反射」といって、便意にも関与します。 この「胃・大腸反射」は、胃が空っぽのときほど、より強い刺激となって信号が送られるため、朝食後に一番強く起こります。 だから、朝食を抜くことは厳禁なわけですね。 また、朝食後、すぐに家を出かけるのも、便意を感じる機会を逃すことになります。 朝食を十分摂り、その後の時間にゆとりを持つことが大切です。 
また、便意を我慢することも便秘の要因となります。 一度我慢したら、しばらく便意はやってきません。 貴重な便意は大切にしましょうね。