スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

インディゴ地平線 (作者:優)

インディゴ地平線 【1】

広大な砂漠の真ん中にぽつんとある町『サナ』は、とても小さな町だった。



珍しい生物や植物がいる訳でもない。

何か高価な金属が採れる訳でも無い。

他の地域との交流もほとんど無いため、文明は発達しておらず、

ただ周りに存在する、いくつかの小さなオアシスだけを頼りに生きているだ
けの町。



そんな何の取り柄もない、ただ乾いているだけの小さな町に、ある日突然一
人の男がやって来た。


―――男の名はルディ。




ここより遠く離れた西の一部の地域特有の青い瞳を持つ彼は、自分の国を離
れ、砂漠を歩いてここへ来たと言った。
町の人々は、初めは戸惑ったが、町に他国から人が来たのは久々だ、と言っ
て彼を手厚くもてなした。

彼はとても明るく、サバサバした性格だったためすぐに人々と打ち解けた。
さらに数日後には、まるで昔からこの町にいたのかと思わせるほど町に馴染
んでいた。







…あたしはそんな彼に近付く勇気もなく、いつも遠くから彼の青い瞳を見つ
めていた。

優 著