スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

猫になりたい (作者:茉莉花)

猫になりたい 【1】

明け方

夕べから僕たちは他愛無い話を続けている。
ふと窓に目をやると、夕べから何度かチラチラ見てた星が消えていた。

「明るくなってきた」

ベッドから抜け出した彼女はしばらくしてコーヒーを持って戻ってきた

「そういえばあのコ、ゆうべ来なかったね」
あのコとは彼女の部屋に度々現れる野良猫。
僕が勝手に部屋に招き入れ懐かせた。
名前は付けていないが、夜になると窓にやってきて小さく鳴くのだ。

「そうだね。」
「んー…体痛い。今日天気悪いね、雨降らないうちに買い物行かなきゃ」

彼女はそう言うも、まだ明け方
一晩中喋り通しだったせいか急に眠気がやってきた

「あともう少しここで寝かせて」
「じゃ私も少し横になろ…」


熟睡したら昼過ぎちゃうな…なんて思いながら目を閉じた

横にいる彼女から寝息が聞こえる。
起きてるんだか本気で寝てるんだか。

ガタガタと窓が揺れる…
風、強いな…
今日も寒そうだな…
頭ん中は現実逃避してオレンジと青の世界
あ、海行きたい…

なんてどうでもいいことをひたすら考えてた

茉莉花 著