スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

タイム・カプセル (作者:えりんこ)

タイム・カプセル 【18】

「草野さん!起きて!朝ですよ!」

草野は起きない。ビクともしない。

「起きろー!!オーイ!バンドはー?」

ガーガーいびきをかいたままだ。

「筆ペン筆ペン〜♪」

筆ペンをどっかからか持ち出すと、草野の顔に落書きし始めた。




「…んーなんか気持ち悪いなぁ!!」



筆ペンの筆の書き味に気づき、草野は起きた。


「あ、おはようございます。」

「ってなんで筆ペン持ってるの?」

「あぁ!こ、これはちょっと…」

「なんだよーったく。顔洗ってこよー」


数分後鏡を見た草野は叫んだ。


横で未紀はケラケラ笑っていた。


「何すんんだよ!!人の顔で遊ぶな!」

「じゃあ、ちゃんと起きてくださいよ!」

「未来ちゃんに似てるわなぁ!」

「母もおんなじことしたんですか?」

「うぅん。未来ちゃんはこしょこしょしてきた。」

「草野さんって朝弱いんですね〜 ご飯とか全部作ってあるんで食べてくだ
さいね!」

「はーい…あぁ〜」


不満げそうに朝ごはんを食べる草野を見て、思い出し笑いをした未紀はいつ
までも笑っていたのだった。


「どこいくんですか?」

「いつもんとこ!未紀ちゃんも行こうか!」

「はーい。」

パパっと身支度すると、ふたりは外へ出た。

「どこいくんですか?」

「ふふ。ひーみつ!」

未紀は草野の後をただついていった。 たどり着くとそこはスタジオ。


「ここは?」

「今日はスタジオで練習なんだ!」

「だ、誰と?」

「ヒミツ!」

「えーいじわる!!」


いつまでも教えてくれない草野にちょっと腹を立てながら中へ入っていっ
た。

「遅れましたー」

「またかいな!お前も…」

部屋に入ったと同時に草野に話しかけたロングヘアーの男が未紀を見るや否
や凍りついた。

ドラムに座ってた男もスティックを落とした。


そして、草野が未紀へこう呼びかけた。

「ようこそ!スピッツへ」

えりんこ 著