スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

タイム・カプセル (作者:えりんこ)

タイム・カプセル 【10】

「あれはちょうど4年位前だったかな? ある日草野がひとりの女の子を連
れてきたんだよ。 それが未来ちゃん。」

「私の母ですか?」

「うん。それで未来ちゃんは2007年から来たって言ってたんだよ。なん
かけいたいでんわっていう小さい電話を持ってて、2007年から来たって
いうのを教えてくれたんだよ。」

「それで!」

「そ、それで…どうなったんですか?」

「草野はすぐに未来ちゃんに片思いし始めたんだけど、いろいろと事件があ
ったりとか。たとえば草野の敵に未来ちゃんがさらわれたりとか!」

「は、はぁ。。。」

「そこは草野の嗅覚で無事に助かったんだけどね。」

「きゅ、嗅覚って犬じゃないですか!」

「まぁまぁ。そこまで未来ちゃんが好きだったってワケよ。でも、未来ちゃ
んは未来から来たから、別れは訪れたんだよ。
 ライブハウスの帰りに、急に座り込んだと思ったら白く薄くなり始めちゃ
ってさ!」

「え!」

「それで、草野がまた…フフフフ」

「フフってなんですか! 教えてください!」

「やっぱねふたりともお互い好きだったんだよ。でもふたりとも打ち明けら
れないまま、未来ちゃんが消えちゃってさ。 でも、草野に置き土産を置い
ていったんだよ。」

「置き土産って??」

「それが未紀ちゃんのお母さんの持ってる同じペンダントだったってわ
け。」

「なんか感動ですね。うちに限って波乱万丈なことはないと思ったんです
が…」

「でも、未紀ちゃんも案外草野のタイプだったりするのかもね♪」

「え・・・」




「ねぇ。。。もう、話終わった??」

さっきまで座布団の下に伏せていた草野が起きた。

「うん。終わった。」

「そっか… あ、もう帰んなきゃだね。じゃーね田村! 明日ね! 未紀ち
ゃん行くぞ!!」

「はーい。」

えりんこ 著