スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

優しくなりたいな (作者:あつこ)

優しくなりたいな 【1】

僕が知らない間に新しい隣人さんがやってきた
引越しの挨拶は近くの雑誌にも紹介されている店の焼き菓子だった
焼き菓子なんて好き嫌いのハッキリしているものを好みも知らぬ隣人に贈る勇気にはなんだか、負けたような気がした
それも家に居なかったから、と扉にスーパーの袋に入れて手書のメッセージつきときたら、さすがに誰だって驚く
袋の箱の中にはクッキーが入っていた
食べようとしたら中にドライフルーツが入っていたので諦めた
ドライフルーツは嫌いだ、味に可愛げが無い。
わざわざ果物を乾かす意味も分からない。
なんだか、よく分からない変なヤツが来たな、と思った。

あつこ 著