スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

地図にない国 (作者:彩香)

地図にない国 【9】

僕は死んでない。
僕は死んでない。
ナナ、君に会いに行くよ。
すぐに怒ってごめん。
情けなくってごめん。
ナナの夢も野望も、僕にはないキラキラ光るものだ。
ナナ、君の隣で、僕はどんな夢だってかなえて見せる。
ナナ、今すぐ君に会いたい。
僕は、君の事が好きなんだ。
今わかったよ。僕は、君に恋してるんだ。

何か後ろで飛び立った気がした。見上げれば白い鳩が窓から飛び立ったようだ。なぜか辺りが急に静かになった。不思議に思って振り向けば驚くほどまぶしい光がハヤテに迫っていた。
「うわぁぁーーーーーーーーーーーーーー。」

ハヤテは喉がつぶれるかというほどの声で叫んだ。











目を開けてみれば周りは誰もいない、静かな、静かな砂漠だった。
砂・風・三日月。

羽ばたく音が聞こえる。見上げれば先ほど見た白い鳩が、ハヤテの頭上を飛んでいる。どこかにハヤテを導いているようだ。無心でその鳩についていくと、遠くにうずくまったまま動かない小さな影を見つけた。

彩香 著