スパイダー2 [作者:あつこ]
■2
君が微笑みながらピアノを弾いていて・・・
泣きそうなくらいそれはキレイで
言葉も出なかった
君に話しかけたいけど
そんな勇気も出ないほど臆病で。
雨だった
どしゃぶりの大雨で僕は中2らしい彼女との妄想とか
繰り広げちゃって、ちょっとなんだか。。。君の事を考えていたら
君の音色がまた聞こえ始めた
重く、分厚い音楽室の扉を僕は見つめて思わず
扉を開けたくなった
もし、君と話す事ができるのなら、とかいろいろ今まで考えていた
事を全部一まとめにして
僕は、扉を開けた。
彼女のピアノを弾く手は止まって
驚いた顔を見て僕を見つめた。
胸が高鳴って、泣きそうな目をこらえて僕は君に言った
『今の、なんて曲?』
彼女はフッと笑って
『エリック・サティの《ジムノペティ》って言うの』
そうやって僕は、彼女と話した
さっき誘われたサッカーのボールを蹴る音が校庭から聞こえる
彼女の声が音楽室に響く
とても心地よい
彼女をまた少し、好きになった
↓目次
【1】 → 【2】 → 【3】 → 【4】 → 【5】 → 【6】 → 【7】 → 【8】 → 【9】 → 【10】 → 【11】 → 【12】 → 【13】 → 【14】 →
【15】 → 【16】 → 【17】
→ 【18】
→ 【19】
→ 【20】
→ 【21】
→ 【22】
|