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小さな街の中で [作者:たぬき]

■第5話 [1/2]

「でさぁ、先生…」

「んー?」

「……いつまでいるの?」

「あ、家庭訪問お前が最後だから。ヘーキヘーキ…でさぁ、」

「あー!あったね〜!そんなことも!」

PM7:00――いまだに優一は水谷家でくつろいでいた。居間のソファで瞳とずっと
喋りっぱなしだ。

「約二時間ほど、ずーっと思い出話に花咲かせているようですけど」
真生はものすごい不機嫌そうに、嫌味たっぷりに母、瞳に聞いた。
「あ、もしかしてお腹空いた?じゃ、優ちゃん…」
―やっと帰るのか。そう思って安心した真生だったが、
「一緒に食べてく?」
母が口にしたのは予想外の言葉だった。
「……っていうかさぁ、先生!!!」
もう半分本気で怒ってる真生。
「うちのお母さんとどういう関係なわけ?なれなれしく『優ちゃん』だの呼ばれちゃって
  っていうか何?この勢いで泊まっていくつもり!?」
大声で質問され、優一は
「ああ、幼馴染なんだよね。瞳とはさぁ。高校まで一緒で」
至って冷静だ。
「それに、オレ、同じアパートだから、泊まりはしないよ」
ニコヤカに付け足す。
「で?優ちゃん、どうするの?」
「ああ、じゃぁ食ってこうかな?」
まるで夫婦のように会話する二人に、もう怒る気力すらなくなった真生。
その場で立ちつくしていた。

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