スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

満月の夜に消える -第1章- (作者:ダービー)

満月の夜に消える -第1章- 【3】

時計の針が夜の11時53分を指した。
私は行く準備をした。
「ミイム、待っていて。あなたを必ず探し出すから!!」
私は家を飛び出た。全速力で猛ダッシュした。
息が切れてきたがひたすらに走った。
ミイムに会いたい気持ちでいっぱいだった。
すると、私は足を挫いて転んだ。
息が止まりそうなほど苦しかった。
なんとか息を整えて起き上がるともう満月ロードに着いていた。
「ミイム、居るの!?」
私はミイムの名前を呼び続けた。すると、向こうから首輪をつけた猫が歩い
て来た。私は電柱の陰に身をひそめた。
あの猫はお隣の津根島さん家のマー君だ。ここまで何しに来たのだろう?
すると、黒いローブを着た女がいきなり現れた。
髪は金色で長い。目はスカイブルーで綺麗だ。
黒いローブの女はマー君に近寄り、マー君を優しく抱き抱えた。
私はハッとした。ミイムもこの女に連れ去られたんじゃ・・・。
私は見ていられなくなった。すぐに飛び出し女の肩につかみかかった。
「あんた、その猫をどうするつもり?」
すると、女は優しく微笑んだ。とても美しい女だ。
「猫の楽園へ連れて行ってあげるのよ。」
私はカッとした。
「ふざけないで!!この猫さらい!!」
私は女を睨みつけた。
「あなたはミイムちゃんの飼い主ね。」
「そうだけど・・・。」
「ミイムちゃんは猫の楽園へ居るわ。幸せに暮らしてるわ。」
「あんたがミイムを!!」
「そろそろ行かなくちゃ。じゃあさようなら。」
女はそう言って空中に浮いたかと思うと満月の中へ消えていった。
私は女が消えてもそこに立ちつくしていた。
「絶対にミイムを取り返してやる!!」
私は満月に向かって叫んだ。

ダービー 著