スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

魔の君 (作者:ラカイル)

魔の君 【1】

小さい頃1週間にかけて見続けていた夢があった。

町、人で賑わう町の真ん中に僕はいた。
訳が分からなくて辺りを見回す。
目の前に女の子が立っているのに気がついた。
女の子が口を開く。
「初めまして」
それから彼女と仲良くなるのに時間はかからなかった。
彼女には・・・この町には秘密があった
「君は飛べないの?」
空を見ると箒に乗って飛んでいる人たちがいた。
「私この前飛べるようになったの。」
えっへんと言う感じに胸を張る。
「見てて」
そういうと箒に跨り前屈みになる。
「えい!」
そういったと同時に彼女の足が宙に浮く。
「すごいでしょー」
自慢するように言う。
「わわ」
少し上昇したかと思ったら左に傾く。
「きゃ」
上昇していたと思っていた箒がいきなり力をなくして落ちてきた。
「いたーい」
落ちてきた彼女は腰をさすりながら微笑みかけてくる。
僕は、つられて笑ってしまった。
「笑わないでよー」
彼女も笑う。
急に眠気が襲ってくる。
「もう時間かぁ」
何のことか分からなかった。
「また来てね」
僕は頷いて目を閉じた。

目が覚めた時には自分の部屋だった。
それからまた退屈な1日が始まる。

ラカイル 著