スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

魔法のことば2 (作者:つぐみ)

魔法のことば2 【4】〜完結

君と出会ってから、たくさんいろんな話をしたっけ。
時には喧嘩したり、泣いたり、くだらない話で何時間も笑って一緒にいたね。
最近はお互い忙しくて会えない日々が続いてるけど
俺の心の中は、君との思い出で溢れてるよ。

二人しか知らないあの話、思い出しては笑う。
約束しなくたって俺たちは繋がっているから、すぐ会えるよね?

そういえば、最近は疲れ果てて、気づいたら寝てて、心に余裕がなくて、心が
泣いてる。
職場に行くときも、帰るときも、歌いながら君を思う。
彼女の笑顔を見たい。会いたい。
わがまま言いたいけど、言えなくて遠くにいる君に届くように空に向かって吐
き出した。

そういえば、こないだの飲み会で友達に言われたな。
「えっ、付き合ってるんじゃなかったの?」
「付き合ってないよ。好きなんていったことないし。」
お酒も入ってたからか、みんな勝手なことを言っていたな。

−すき−

言えばすごいことなんだよ。簡単だけど難しい。
でも、まだ言わない。いや、言えないんだ。
君の気持ちが分からなければ、言えない。
だってこの関係を壊したくないから。

でもさ、君は顔も美しくて、長所も短所も好き、きっと君の全てが好きなんだ
よ。

横断歩道を待ってる間、ふと空を見た。日がだいぶ長くなったな。

「マサー!??」
突然後ろから誰かに呼ばれた。
振り返ると、横断歩道の向こうで杏子が手を振っている。
「杏子?」
青になってこっちに走ってきた彼女はどこか、大人になっていた。

「こんなにたくさんの人がいる、東京で出会えるなんてすごいね!」
「芸能人に会ったような発言だなー。」
「そうだ、今帰るとこ?」
「うん、そうだよ」
「私もそうなの!よかったらご飯行かない?」
「いいよ。」

近いうち、約束しなくたって、会えるさ。
大丈夫、俺らなら。

つぐみ 著