パーセンテージー紫陽花ー (作者:香夜)
パーセンテージー紫陽花ー 【1】
あれは、まっさらな制服に身を包んだ、
4月の出来事・・・
「これ、君の?」
「・・・へ?」
春の雨音と共に揺れ動く、バスの中で
あたしは高校生くらいの男の人に、声を掛けられた。
「・・・これ、入り口んとこに落ちてたんだけど
・・・違う?」
彼がそう言って見せたのは、小さなイルカのキーホルダー。
「あっ!!あたしのです!!!」
「なら、良かった
・・・はい」
今でも、鮮明に覚えてる。
「ありがとうございましたっっ!!!」
これが、あたしと“あの人”の
出会い―
香夜 著