スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

UFOの見える丘 (作者:ひかる)

UFOの見える丘 【2】

あと5年もしたら、21世紀になろうというこの時代に
なぜ目の前にUFOが落ちてきたのだろうか。

すごく巨大な。


しかも、その未確認飛行物体、煙の中のUFOから降りてきた、
多分性別は女であろう、服は・・・宇宙人が着ているようなものだ。
そんな生き物がなんか言っている。

俺は驚きのあまり、開いた口が塞がらなかった


「―――――に連れてって
「――――丘に連れてって
「―――見える丘に連れてって
「UFOの見える丘に連れてって

はっと、遠くの方にあった俺の脳みそが戻ってきたように感じた
なんか連呼してる
現実を見てみよう。
ここにUFOから降りてきた女がいて、あそこに・・・

「あれ!!?

そう、落ちてきた巨大なUFOは跡形もなく消えていた
地面はすごく大きな穴があいていたはずなのに。
前が見えないほど煙があがっていたはずなのに!

俺はおそるおそる聞いてみた
「あのー・・・君、何ジン?

その女がようやく、連呼していた言葉以外を発した。


「私はsherry.ウイリーという惑星から来たわ。
 ここは何ていう惑星?

ええっと・・・言葉に詰まる。まだ信じられないが、
ここは少し現実逃避でもして話してみるか。

「ここは地球という惑星。何で君はここへ落ちてきたの?

「人間という生き物に会うためよ。

「人間に?何のためさ。

「わからないわ。ウイリーの神と言われるエトランゼ様が私を選んだのよ。

はあ・・・。何言ってんだこいつは・・・ってか、
何で俺はわけわからん、シェリーとかいう女としゃべってるんだ。

「ところであなたの名前は?

「えっ、俺は翔。

「翔、私のことはシェリーと呼んで。せっかく名前をつけてもらったんだもの。

なんて意味のわからないことを言っているんだ
そういえばさっき連呼してた言葉ってどういう意味だ?

「ねえ、シェリー。『UFOの見える丘に連れてって』ってどういう意味?

「エトランゼ様が、ウイリーへ帰ってくるためには、
 『UFOの見える丘』へ行かなければならないと言っていたのよ。
 ここは空気も悪いし、居たくないわ。
 エトランゼ様は私に何をさせたかったのかしら。早く帰りたい。

ひかる 著