スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

砂漠の花 (作者:P)

砂漠の花 【8】〜完結

「あの・・・・」
「はい。」
「俺、泥棒止めて、就職活動、がんばります。」
「え?」
「なんか、聞いてて元気出ちゃいました。なんででしょうね。」
「あ・・・・やっと笑ってくれましたね(笑)」
「?」
「笑ってくれるの、待ってたんですよ。就職活動って。学生みたい。」
「(笑)」
「じゃあ、私はお手伝いします。ここで、住んでください。」
「でも・・・・迷惑が・・・・・」
「いえ。私は、大丈夫です。もうこんな時間なので、寝ません?」
「ああ・・・・・ありがとうございます。」
「こっちの部屋、使って下さい。」
もう、恵理香さんの目からは、悲しみの色が消えていた。
きっと、俺の目にも、もう、恐怖の色は消えているんだろうな。
「恵理香さん。」
「はい・・・・?」
「俺、あなたに会わなかったら、きっと、ずっと泥棒やってました。」
「え?」
「俺、がんばります!!!!」
恵理香さんは、微笑んで部屋から出て行った。


それから2年後。
ずっと、恵理香さんの家に住ませてもらっていた。
就職もでき、姉貴や弟も、大丈夫なようだった。
いつからか、姉貴に言われたことがあった。
『恵理香さんのこと、どう思ってるの?』
何も答えなかった。
解らない。
それと、怖いのもあった。
きっと、これからも、そういう話は出ないんだろうなぁ。
俺が何かしでかしたとき、恵理香さんは笑って許してくれた。
その笑顔を見るたびに、苦しくなった。
でも、やっぱり解らなかった。
それでも、君に会えてよかった。
君に会えたから、自然体でいけたんだと思う。

君に会えて、本当によかった。


=完=



【あとがき】

今回は、できるだけ短く書こうと思って書いてました。
それが8ページまで・・・。
あんまり恋は進展しませんでしたが、功介の痛みが伝わったらいいなぁと思いました。
読んでくださった皆様に、心からお礼申し上げます。
皆様のがんばりが報われることを、心からお祈りいたします。
(硬くなってしまってすいません・・・・・・。)

P 著