スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

砂漠の花 (作者:P)

砂漠の花 【3】

姉貴は痩せていた。
頬もこけていて、腕も細くなっていた。
「大丈夫か?そんながりがりで。」
「あんたほどじゃないよ。」
俺は刑務所では、ほとんど食欲が無かった。
これで反省したつもりだったから。
「ここがお母さんのお墓。」
「母さん・・・・。」
やっと帰って来れたのに。
また会って、どなってもらおうと思ったのに・・・。
一度にいろいろなことがありすぎる。
そうだ。弟は・・・。
「姉貴、真吾は?」
「あいつは、借金取り立てられて身ぃ隠して生きてる。」
「なんで!?」
「貢ぎってやつ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・姉貴はなんにもしてないよなあ。」
「あたしがなんかするわけないじゃん。」
「そうだよなぁ・・・。」
「あんた、これからどうすんの?ニュースにはなってないけど、ここら辺では結構知ってる人いるよ。」
「そうだなぁ・・・・。歩いてってたどり着いたところで、アルバイトでもするか・・・。」
「家は?」
「・・・・・・・・・当分野宿か・・・。」
「あんたねぇ・・・・。ごめんね、功介。」
「なんで?」
「あたしのとこには置いてやれないから。」
「ああ、そんなこと思ってないから。」
―――やっぱり、姉貴の家はダメか・・・。
「あたしね、結婚したんだけど・・・」
「はぁ!?いつだよ!?」
「去年。でも、そいつがすっごい暴力振るってくるから・・・。だからあんたは泊めてあげらんない。ごめん。」
「だからこんなに・・・。」
そういえば、あっちこっちにすりぎずやきりきずがある。
「ずっとそいつのとこにいんのか?」
「もうちょっとしたら逃げるよ。あたしだって、こんなことじゃいつか殺されるから。」
「・・・・・・・・・・・・・・」
本当に、いろんなことがありすぎる。
ホントに、俺は大丈夫だろうか?
そんな不安が、渦巻いていた。

P 著