リコリス (作者:ユリコ)
リコリス プロローグ
その日。
ある1本の木が消滅した。
それは世界を沈黙から守り続けていた『リコリス』という神木。
何故消滅したのか。
その世界の人々は戸惑うばかりであった。
しかし、そんな場合ではなかった。
見知らぬ生命体が…
その世界を沈黙の闇へ陥れようと
目覚め始めていた。
そして、また別の世界。
いつも通りの朝を迎えようとする一人の少年。
彼は部屋の窓のカーテンをバッと開けた。
目に入ったのは…
小さい頃よく遊んだ公園。
そこには大きな桜の木があった。
花の蕾が今にでも顔を出しそうだった。
「もうすぐ春か…」
少年はそう呟いた。
ユリコ 著