スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

ハニーハニー (作者:P)

ハニーハニー 【4】

「天ちゃん、なんで気持ち悪くなるの?」
わたしはどんどん気持ち悪くなり、先輩にそのことをうったえた。
すると、3人の先輩にパート練習の部屋に連れて行かれ、いきなり聞かれたのだ。
は?と思った。
わけがわからなくなった。
そんなん、解る人いるの???
逆に聞きたいくらいだった。
3人の6つの目が怖くなってきたし、他に誰もいなくてどうしようもできなかった。
「わかりません」とだけ答えた。
「精神的な病気なんでしょ?いっつも。」
すぐに聞き返されてしまった。
その頃はしょっちゅう気持ちが悪くなったり、おなかが痛くなったりして、早退させ
てもらっていたのだった。
わたしはだまってしまった。
先輩は質問を変えた。
「楽器のことはどう思ってるの?」
やっぱり聞き方は怖かったけど、ちょっとたってから、「きらいじゃないです」と答
えた。
本当に怖かった。
震えていたかもしれない。
誰も助けてくれないところで、3人のかなわない相手にかこまれていることがおそろ
しかった。
そのとき、おなじパートの4人の先輩が入ってきた。
「何?どんな話し合いしてんの?」
かなり楽しそうに笑いながらだった。
逆におそろしかった。
8人でわたしのことを話し合おうとしているのだ。
もう逃げられない。
初めにいなかった先輩に、「楽器のことはどう思ってるの?」とまた聞かれた。
おそろしくて声が出なかった。
涙が出てきた。
7対1なんて卑怯だ!とでも叫びたかった。
でも・・・・反発なんてしたら、その後どんな反撃がかえってくるかわからない。
時間がちょっとずつたっていく。
「早く言ってよ」
「どんだけ待たせんだよ」
「天ちゃんって口聞けなかったっけ??」
「赤ちゃんになっちゃったのかなー???」
「なんなんだよ」
そんな言葉が、わたしのあらゆるところに突き刺さった。
深く深く、ずっと深くまで。
わたしはもう絶えられず「きらいじゃないです」と言ってから、少し声をあげて泣いた。

P 著