スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

クリスピー (作者:ひかる)

クリスピー 【20】

ナナ「空を見てってどういう意味っ?

ナナがぼろぼろと涙の粒を落としてゆく。

翔は、あと少ししか見つめていられないナナを前にして

少しだけ微笑んだようにナナには思えた。

翔「空ってね、近いようで遠いんだよ。

  手を伸ばしたらさ、届きそうで届かない。

  僕らって、そうなる運命だったんじゃないかな。

  心が繋がっていても触れ合えなくて、

  手を伸ばしたら届きそうなんだけどそれは思い込み。届かなかったんだよ。

  そんなおとぎ話があってもいいんじゃない?

ナナ「運命・・・運命だったんだ?

翔「そう。運命だったのさ。運命は変えられない。

翔もナナを抑えようと必死に自分の心に言い張っていた。

こうなる運命だったんだと・・。

ナナ「・・・そうだね。新しいおとぎ話を作ろうか。

  いつかは笑って他の人にも伝えられたらいいね。

涙をこらえる翔がふっとナナを見上げると、

ナナは白いワンピースからハミ出たきれいな手首で涙を吹いていた。


1996年3月突入


来る。やつが来るんだ。

10日が過ぎた。15日が過ぎた。

来ない。まだ来ない。

もしかしたら脅していただけなんじゃ・・?という、

なんとも小さな希望の光が、翔には見えたりしていた。


その頃、ナナの父は探す当てもなく、やっぱりいろんな街をうろついていた。

「ああ!やっぱりーあんたじゃん。

見つかりたくなかった。なんでこいつと会ってしまうんだ。

これが運命なのか。いつからこんなに歯車が狂い始めたんだろう。

彼「あんたにも協力してほしいことがあるんだけど。

父「・・・

彼「ナナをさ。ちょっと騙して連れてきてほしいんだ。

  金はやるよ。仕事も与える。これで、どうだ。

ひかる 著