スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

クリスピー (作者:ひかる)

クリスピー 【17】

1995年9月

プチ旅行から帰ってきて、お互いはお互いの生活に戻った。

仕事の最中にふと思い出した。

翔「ナナのお父さんが仕事をやめさせられた?なんで?

  そして、あの人は誰?もしかして・・・

いや、絶対そうだ。翔は確信した。


チリリーン。

彼「よっ!ナナ。

ナナ「な、何でここまで来たの?!仕事中なの、邪魔しないで!

彼「邪魔なんかするかよ、すぐ帰るさ。

  こんなところで時間を潰してられないからな。

  教えてやるよ、お前の親父、仕事をクビになったんだ。いや、してやった。

  ナナ、3月に迎えにくる。そして、遠くへ連れて行く。絶対だ。

逃げられない、ナナは直感した。

彼「そしてなあ、お前の彼氏さんにも教えといてやったから。


ナナは教えてくれなかった翔に対して、

少なからずも「なぜ教えてくれなかったのか」と思った。でも、

「そのときが来たら、ついて行かなくてはならない」

そうじゃなきゃ、これ以上、お父さんにも翔君にも迷惑はかけられない。



翔に会った。

胸が詰まる。

どうしよう。

何で教えてくれなかったの。

いろんな気持ちが入り混じる。

でも、なるべく普通に接した。そう、彼はまだ来ないんだから。

ひかる 著