![]() |
|
スピッツ歌詞TOP>オリジナル小説>めざめTOP>01 | |
めざめ [作者:あつこ] ■1 台所にはさっき食べたカレーとサラダの皿がキレイに洗われ、磨かれていた そのマンションの一室には少年以外誰も居なかった あるのは寂しさと異様な孤独感だけ。 計算ドリルはすぐに終わって、テレビを付ける 寂しい、お母さんはまだなのかな。 いや、今帰ってきたとしても母は何も言わずに布団に入るだろう ベランダの外は真っ暗で所々に家々の灯りがあった ベランダに出ると、懐かしい香りがした。 テレビの雑音が聞こえる。 お母さんは、まだなのかな? 何を考えても、どう思っていてもそればっかり浮かんでくる こんな時間に外に出るなんて、夏祭りの時か、母さんと小さい時に外食に行ったきりだ。 靴を履きなおし、エレベーターを待つ 7階、8階、9階、10階、11階、最後に、12階。 エレベーターを降りると最上階。 でも俺知ってるんだ、ここの鍵、もうボロくってちょっとドアノブを回せばすぐに開けられること。
【1】
| |
![]() |