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月に帰る  [作者:猫]

■ 1

君がいる月があるならば
光を失ってもきっと、生きていける
ひかりを見つけられる



俺の目は失明する可能性を秘めているらしい。

バイクに乗ってた時に、乗用車と正面衝突して、
病院に運ばれた。
目が覚めるとほぼ同時に腕が動かないことに気づいた
あぁ・・・そっか、俺事故ったんだよな
すると大きくドアが開く音が響く
母と姉があわてた様子で入ってきた
「翔・・・良かった・・・」
ああ、わざわざ東京まで出てきてくれたのか
「ごめん。」
予想以上に弱弱しい自分の声に驚いた。
その後、姉に「馬鹿!!」と怒鳴られて(姉が心配しているのはよくわかっている)
しばらく話をしてから、俺はまた寝てしまった。

骨折と額を4針で済んだので意外とすぐに退院できた。
乗用車に乗っていた男性も無事だったらしい。
母と姉にはお礼ともう一度「心配かけてごめん」と言い別れて
小さな古いアパートへ帰ろうとした時何故か目がかすみ、風景がぼやけた。
一瞬歪み、また戻り・・・
俺はとにかく怖くなった。

次の日、俺はまた病院へ行った。
受付を済ませ、椅子に座った時また風景が歪む。
あぁ、気持ちわりいなこの感じ

「最近交通事故にあってますね」
嘘だろ。事故に関係してるのか
「その時に頭部を強打したことによって、神経がまだ驚いている状態で
  うまく機能していないと思われます」
「そうですか・・・」

「ただ・・・」
ほっとしていた俺にとって聞きたくない言葉だった
「神経などがダメになってしまってる場合もあります
  その時は急激な視力低下や、最悪の場合・・・失明などの可能性もあることを
  考えておいてください。」

失明。俺には重すぎる言葉だった。
そうですか。と、なんとなく反応をした。
心の中で冷ややかに「失明だって、さ」と笑ってみた。
落ち着くにはこれしかない。
人前で泣くわけにはいかない。すごく不安で、自分でも気持ち悪いとおもったが
泣きそうだ。

上の空で医者の話を聞いて、色々と答えて・・・
俺はもうダメかもしれない。



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