スピッツ歌詞研究室 オリジナル小説
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すき [作者:なつ]

■ 1

好き。君のすべてが、つま先から頭のてっぺんまで好き。


わたしは一年生になった。新しい学校で、新しい教室、新しいクラスメートに新しい先生。
わたしは2組。同じ小学校出身の友達はミクちゃんぐらいかな。
入学してしばらくすると、たちまち友達が増えた。特に仲良しなのが、東小から来た、リカ。
わたしはミクちゃんとリカと三人で過ごす生活が楽しくてしょうがなかった。

「ねぇ次の授業何?」

美術の授業の帰り、ミクちゃんが言った。

「算数だよ」

わたしがすかさず答えた。

「数学でしょ!もう小学生じゃないんだし」

リカが突っ込む。いっけん他愛ない会話に少し窮屈さを覚える。それにやっぱりわたしは算数(数学)が苦手だし、
中学生になってもそれ変わらなかった。


五月に入ると、遠足の話が出てきた。まだクラスにもあまり馴染めてない子だっているのに、この時期に遠足(しかも二泊)とは早い。
その「クラスに馴染めてない子」という響きで、だいたい顔が浮かんでくるようになった。
出席簿順でわたしの後ろの子だ。よりによって布団はその子と共同。あーぁ。

なんて言ってる間に、5月21日、遠足の日が来てしまった。

↓目次

【1】