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5分間だけの甘い手  [作者:レモンライム]

【1】

単なる遊びのつもりが、こんな事になるなんて・・・

俺の前にはぐったりと横たわった前野がいた。
そんな・・・ウソだろ・・!?

島田「ま、前野・・?」

前野「・・・」

島田「お・・オイ起きろって!」

前野「・・・」

いくら呼びかけても前野が起きない理由・・・
それは十中八九、頭から出ている血のせいだろう。
今の時刻は13時ちょうど。
俺たちはいつも通り、12時30分から始まる昼休みを利用して、
ほうきで剣道の真似事をやっていたんだ・・・。
今日に限って、俺の放つ縦切りに対し前野は足を滑らせ、
よけることができなかった。

島田(あァ・・・ど、どうしよう・・)

幸いここは体育館の裏だったので、人に見られてはいなかった。
だが、もうすぐ5限目が始まる。
俺が教室にいなきゃ当然騒ぎになる。

島田(あ、あと5分だ・・・あと5分で5限目が始まる・・・)

俺はもう既に前野は死んでいると思った。だからこそどうしようも無かった。
救急車を呼んだりするのは、自首するのと同じだと思っていた。
・・・フとその時、人の足音が聞こえてきた!だんだん近づいてくる・・

島田(ヤベぇ!来る・・!)

俺は咄嗟に前野を溝の隙間に隠した。
誰かが来た。見覚えがある。
全部で3人、それはうちのクラスメイトのやつらだった。

クラスメイト「よう、島田。そんなとこで何やってんだ?」

島田「別に・・・剣道の練習さ。」

クラスメイト「お前が一人で練習なんて珍しいな・・・」

そしてその時、さらに5人組のクラスメイトがやってきたのだ!

島田(な、・・・)

全部で8人も来た・・・こんな時に限って・・・
しかしそうこうしている内に再びクラスメイトの塊がやってきた。
10人組みの女子だ。
確実に妙だ。なんでこんな日、こんな時に限って奴らが体育館裏なんかに来るんだ・・・
しかもこんなに大量に。
奴らまさか・・・俺がしたことを知ってるんじゃ・・・
自然と冷や汗がでてきた。
でも奴らは何かを待っているかのように、不自然な会話を友達と交わしている。
前野はまだ見つかっていない。



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