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不思議なお兄さん [作者:ユウコ]

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僕は何の変哲もない普通の町に住む少年。
だけど、僕は最近、興味をそそられる出来事に出くわしたんだ。
それは、僕の家の近所にある空家に若いお兄さんが引越ししてきた。
大きな一軒家にたった一人。家族もなく恋人もなく・・・・・・。
僕はそんな謎めいたお兄さんに強く興味を持ったんだ。
まるで、好きな子の全てが知りたくなるような感覚。
僕は今、夏休みを送っている。
せっかくだからお兄さんの1日を観察しよう!
と僕は心の中で強く決めた。
家族には内緒。
なぜならお兄さんは僕にしか見えないから・・・・・・。
お父さんとお母さんに若いお兄さんが引っ越してきたよと言ったら、幽霊を見たんじゃないの?と信じてもらえなかったんだ。
でもお兄さんはちゃんと買い物しているし、お兄さんの住んでいる家から、時々いい匂いが漂ってくるんだ。
その姿からお兄さんが幽霊だと思うのは想像もつかない。
お兄さんはきっと料理が上手な人なんだ、と僕は確信している。
お兄さんはすごく不思議な人。
だってお兄さんが引越ししてきた時は僕にも分からなかった。いつの間にかこの家の主になっていたんだ。
お兄さんが突然現れた日、僕は驚いてママにそれを言ったら、ママは笑いながら、そんな若い年齢で家を買える訳がないじゃない。
普通は家族も一緒よ。それにあの家は今も誰も住んでいないのよ。と言っていた。
だけど、普通に生活している姿を見るとお兄さんがこの世に存在しない人とは思えない。
よく考えれば考えるほど僕は混乱するからあまり深くは考えなかった。
僕はいつものようにお兄さんの家をぼぅっと眺めていた。
お兄さんはいつも着古したチェック模様の入った服を着ている。日によって色が違うので一体、何着持っているのか不思議でたまらない。
お兄さんがは履いているジーンズはいつも同じもので、色褪せて少し擦り切れている。
お兄さんの顔はこれといった特徴はなく、特徴をあげるとしたら、長身である・・・・・・ぐらいになると思う。
だって、目は二重だけど眉毛も濃くも薄くもない口も厚くも薄くもない、普通の人。
だけど、僕は気になることが二つあった。

  一つ目。

何故、僕にしかお兄さんは見えないのか?
お兄さんは幽霊かもしれない、でも普通に買い物しているし料理もしている。幽霊が料理をするなんて聞いた事もない。

  二つ目。

それはお兄さんの腕にあるもの。

夏の暑い日、外はサウナ状態だった。お兄さんはいつものように買い物に行っていた。その日、お兄さんは半そでの服をさらにまくりあげていた。
僕はその時、お兄さんの腕に模様が入っているのを見つけた。
そう・・・・・・刺青。
その模様ははっきりと覚えていないけど、たしか鋭い目で睨みつける赤い鳥だったような気がする。
そんな普通のお兄さんが刺青をいれているなんて驚いたけど、気にしない事にした。
刺青というより洗えばとれるタトゥーだったかもしれないから。
僕は毎日のようにお兄さんの観察を続けていた。



↓目次

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