スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

花の写真 (作者:みなみ)

花の写真 【4】

毎日毎日たくさん写真を撮った。

でもあの衝撃をうけるような写真はまだ僕には撮れなかった。

秋も通りすぎて冬になった。

そして先輩たちの卒業式が近づいてきた。

フィールドワークは終わったあとでも
学校内で交流があった先輩がいなくなるのはさみしい。

いつかは卒業するんだってことを認めたくないけどわかってる。

なんだか鼻がツンとする。

これはさみしいから?

それとも…先輩が好きだから?

後日先輩と会った。

どうやら就職先が決まったらしい。

場所は地元ではなく東京…

先輩は学校からも
この場所からもいなくなってしまうんだ…

「ちょくちょく帰ってきたいけど忙しくなりそうだし難しいのかなぁ」

とぼやいていた。

そして卒業式。

式のあと僕は先輩に会った。

「先輩、東京行っちゃうんですよね?」

「うん」

「さみしいですね」

「特にあのひまわりたちに会えなくなるのがね…
毎年行ってたのに。」

僕は言おうと決めてきたことを言った。

「…先輩。
先輩の住所教えてくれませんか?」

「別にいいけど…なんで?」

「僕が先輩の代わりにひまわりたちに会って
その写真を先輩に送るんです。
いいアイディアじゃないですか?」

「本当!?じゃあお願いする!」

先輩は手帳をちぎり、
さらさらと住所を書いて僕に渡した。

「あのこたちを頼んだよ」

こうして僕と先輩は別れた。

結局想いは伝えられなかった。

だけどまだ先輩と繋がっていられる。

みなみ 著