スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

花の写真 (作者:みなみ)

花の写真 【1】

花の写真

僕たちは写真で繋がっている。

今にも切れそうな細い糸みたいだけど
なかなか切れない強い糸。

先輩との出会いは一枚の写真だった…

2年前、写真の専門学校に体験入学したときのことだった。

カメラや写真に少し興味があったから
軽い気持ちで行ったその学校で
僕はある一枚の花の写真と出会った。

学校に入るとすぐロビーがあった。

そこにはたくさんの生徒がとった写真が飾られていた。

その中でも一際僕の目を引いたのは
ひまわりが咲き乱れている写真だった。

ひまわりの黄色と空の青とのコントラストが美しかった。

食い入るようにその写真をみていると

「その写真、気に入った?
あたしが撮ったんだけど。」

と話しかけられた。

ショートカットでどことなく中性的な雰囲気の人だった。

それが僕と先輩の出会い。

「ひまわり…きれいですね」

「でしょ?あたし、黄色大好きなんだ。
みてるだけで元気がでる気がしない?」

この写真をみて、僕はこの専門学校に通いたい!
と思った。

僕もこの写真のような美しい風景を撮りたい。

人の気をパッと引くような写真を。

「もしここに入学するようなことがあればよろしくね」

と言って先輩はロビーから出ていった。

顔がものすごく熱い。

僕は先輩の写真と先輩自身に一目惚れをしてしまったようだ…

みなみ 著