スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

eternal2 (作者:ナナ)

手を伸ばす 【9】

 アオイは、僅かに働いている思考を駆使して考える。
 そしてある日、一つの結論に達していた。
「幽体離脱かな…」
 そのときには、既に病室の外も認識できるようになっていた。
「これから、どうなっちゃうんだろう…」
 その不安が、アオイの思考の半分を占めていた。
 普通の生活に憧れてる自分と、それに対してどんどん人間ではない何かになっていく私。
 その間で揺れ動くアオイは、あまり来なくなったユウトのことを思っていた。
 それと同時に、アオイの脳内を、様々な記憶が駆け巡っていった。
 楽しかった思い出も、嫌だった思い出も。
 笑いあった日々も、傷つけあった日々も。
 それらの思い出一つ一つが愛おしいものだと、ようやく気がついた。
 そして、それと同時に、戻らない日々を思って悲しくなった。

ナナ 著