スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

若葉物語 (作者:りこ)

若葉物語 【3】

「よし、純っ。今日はちょっと遠くまでお散歩しよ!」

「いいよ。」

さっきまで泣いてたと思ったら、切り替えが早いよな。
まぁ散歩は好きだからいいけど。

外に出ると、なんかもうすぐ夏なんだなぁって感じがするな。
暑すぎないくらいの今日みたいな天気がちょうどいいんだけどな。
僕は暑さに弱いから、さ。

「帰りにさーあ、バニラのアイス買って帰ろうね!まだね、えへへ、しぃち
ゃんおこづかいあと200円もあるんだあー!純も食べる!?」

「いいや遠慮します。」

いやしかし本当に切り替えが早い。
まあ泣いてるよりはずっといいや。笑ってる方が、うん。かわいい。
実際、雫は可愛い方だと思う。雫がいじめにあう前に、友達とやらと何人か
が来て一緒に遊んだけど、雫の方がずっと可愛かった。うん。

色が白くて、ちっこくて。髪の毛もずいぶん伸びたな。
ころころ変わる表情が愛しくて。
・・・またキスしたくなってきたよ。

雫が泣くならその涙は舐めてあげるよ。
雫が笑うならその笑顔が絶えないように見守るよ。
どうしてこんなに愛しいんだろう。
そんなこと考えてたら、隣町の大きな公園についていた。

りこ 著