スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

満月の夜に消える -第1章- (作者:ダービー)

満月の夜に消える -第1章- 【1】

ペットのミイムが急に消えた。
いつも散歩した後は必ず5時前に帰ってくる。
なのに今日は5時を過ぎても帰ってこない。
ミイムとは、私の飼っている雌猫の名前だ。
長毛種で毛が茶色の雑種だ。首には鈴をつけている。
ミイムは近所をぶらぶらしたらすぐに帰ってくる。
わざわざ自分の知らない所までは行かない。
私が無理やりミイムの知らない所まで連れていくと、怒って私をひっかきま
わす。そんな奴がわざわざ知らない道まで行くわけない。
私は落ち着けなかった。すぐに家を出た。もう夜の12時だった。
ミイムが行きそうな所をほとんど行ってみた。しかし、居なかった。
民家と民家の隙間までこまなく探した。やはり、居ない。
後はミイムの知らない場所ばかりだ。思い当たる場所は全部探した。
ミイムが車に轢かれていたらどうしよう・・・。
そんな考えも頭の中にあった。
もうすぐで1時になる。もう遅いし明日また探そう・・・。
私は家の方へ歩き出した。すると、見知らぬ道へ来た。
その道は古い民家が沢山建ち並んでおり、ビルやアパート、お店が全然無居
道だ。すこし気味悪い。近くに私の家が見えた。私の家は一軒やだ。
あんな近くに家があるのに知らないだなんて・・・、変なの。
この道からは綺麗な満月がはっきりと見えた。真上にあるような気がした。
近くに立っている電柱で住所うを調べようとした。だが、住所が書いていな
い。かわりに『満月ロード』と書いてあった。
私は意味が分からなくなった。住所が全然分からないなんて・・・。
すると、足元にキラリと光るものが落ちていた。
拾い上げてみると、それは鈴だった。これは・・・ミイムのだ!!
ちぎれたリボンの所にミイムと名前が書いてあった。茶色い毛も2・3本つ
いていた。ようし、明日ここを調べてみよう。
私はミイムの鈴を持って家へと帰って行った。

ダービー 著