スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

オケラ (作者:えりんこ)

オケラ 【5】

「おいおいおい!ロボットっておい!」

正座をする駆の前には、頑丈なボディが印象的なロボットが座っていた。

「おい!なんでロボットなんだ!」

駆の問いにロボットは答える。

「誰もロボットじゃダメなんて言ってないよーだ!」

「じゃあ誰がルール決めてんだよ!」

「ん?僕だよー。ここは僕の遊び場だもん♪僕のルールがみんなのルー
ル!」

「ま、まぁ正当だけど…でもロボットって…まぁいいや。」

「正々堂々と勝負してよ?」

「当たり前だろ。」


部屋の空気が急に引き締まった。

GAMEの始まり。

駆は早速札へと目を向ける。取り札も何やらおかしい気がした。



「駆、あんなのに勝てるの?師匠!」

上の小さな窓からふたりは覗いていた。

「うーん、むずかしいだろうなぁ…。」

「そっか、駆には運動神経がないからなー」

「でもかるたセンスはあいつはピカイチだしな。」

「私も駆には勝てないですしね。そう簡単には負けませんよ。」

「だな。」

ふたりはまた視線をロボットと駆へと戻した。


「おい、ロボット。」

駆がぶっきらぼうに話しかける。

「なんだーい?」

「読み札って誰が読むんだよ。」

「あ!決めてなかったねー駆くんだっけ、ご指摘ありがとう!」

「お前それでもかるたできんのかよ。で、誰が読むの?」

「うーん、そうだねー…」

ロボットは視線を上のふたりへ向けた。

「じゃあ、あの女の子!」

亜希子を指差し、指を手前に引くと、亜希子だけが指に吸い寄せられていっ
た。

「アアア、アキ!?」

亜希子もただただ驚くばかり。ロボットと駆の間に座った。

「なんであたしなの?」

駆の言葉をロボットが遮った。

「だって、可愛いじゃん♪駆くんに勝ったら、なんかしてねー♪」

駆の顔が一気に顔をしかめた。


「おい、くそろぼっと。やるぞ!日本一の腕前、見せつけてやるから。」

えりんこ 著