スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

ひなたの窓はどこに (作者:仲野フレン)

ひなたの窓はどこに 【8】

――母さん――

『ヒナタ・・・』

――私のお母さん――

『ヒナタ・・・』

――たった一人のお母さん――

『ヒナタ!とっとと起きな!!まったく、また夜更かししてお勉強かぁ?!』

「あぁもぅうるさい!今起きるよ!うるさいなぁカエデは・・・」

――尊敬すべき人――

『さぁさぁ顔洗って朝飯朝飯!』

「食欲ない・・・」

『はぁっ?!ちゃんと寝ないから・・・』

「あぁもぅ!食べるよ!食べりゃいいんだろ!」

――お互い引き合っているのに弾きあってばっかりで――

『あのなぁ、母親に向かってその口のきき方はないだろ?!』

「うっせぇな、お前だって口悪いくせに」

『私の口は一生治らねーよ、ばーか!!』

「馬鹿じゃないもん、俺学年1位だもん。馬鹿はお前だろばーか!」

『もう!お前朝飯抜き!!』

「食べなくても平気だし!!」

『も〜〜〜!!』

――あの日々がずっと続くと思ってた――

『こうなったら絶対授業参観行ってやる!!』

「はぁ?!絶対来るな!!」

『いーく!』

「く・る・な!」

『いーくったら、いーく!』

「くるなったら、く・る・な!」

――カエデ・・・いや、母さん――

『・・・ほら、あんたの好きな目玉焼きトースト♪今回は特別に食わせてやるから!』

「・・・別に」

『何?』

「別に来てもいいよ」

『授業参観?』

「うん」

『やったぁ!ママきれいにしてくるわ』

「ママきれいに、だって・・・」

――また一緒に暮らそう。あのころみたいに2人で。毎日くだらないことでケンカしながら――

「なんか気持ち悪い」

仲野フレン 著