スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

タイム・カプセル (作者:えりんこ)

タイム・カプセル 【24】

「できましたよー!降りてきて!」

母の掛け声が部屋に響いた。

「あ、ご飯できた!行きましょう!」

「え、あ、あぁ…」

「もう!なんでそんなに元気ないんですか?」

「まぁ、ちょっとね…」

「お母さんが草野さんのこと覚えてないって言われたから?」

「・・・。」

急に黙り込んだ。

「大丈夫ですよ!そんなバカなお母さんじゃないんで!」

「じゃあ、そのコトバ信じるよ?」

「もちろん!信じてください!」



ふたりは、階段を降りて居間へと向かった。

「はい、どーぞ!」

いっただきまーす!の掛け声で、食事を始めた。
草野は「うめぇうめぇ!」といいながらガツガツ食べていた。

「ほおばりすぎじゃないですか?大丈夫ですか?」

未来が草野にたずねた。

「あ、あぁ!大丈夫ですよ!いっつもこんなぁ…ゲホゲホゲホ!」

「あぁ、、、だから言ったのにー」

そう言うとさっと背中に回り、草野の背中をさすった。

「なんか、久しぶりだな。こんなに人がむせてるのを見たのは…ははは!」

背中をさすりながらクスクスと笑う未来は、未紀から見てなんだか若く見え
た。

えりんこ 著