スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

タイム・カプセル (作者:えりんこ)

タイム・カプセル 【17】

未紀は少し止まった。

(じゃあ…あのスピッツのボーカルはここにいる草野さん!?)

恐る恐る未紀は聞いた。

「草野さん…」

「ん?」

「あのデビューシングルってなんですか?」

「あぁ。”ヒバリのこころ”だよ。それが?」

「あぁあああああ!!!やっぱりそうだああ!」

未紀のその声に思わず草野は飛び起きた。

「な、何だよ…いきなり大声出したと思ったら…」

「やっぱりそうですよ!草野さん!私大好きなんですよおお!」

「え?」

「ホントスピッツ好きなんです!いやあ…嬉しすぎる!」

未紀は興奮したまま草野さんの手を握って上下に激しく動かした。

「ちょ、ちょっと待って!」

「なんですか?」

「俺らってそんなに有名になるの?」

「はい…」

「ってどうした?そんな暗くなっちゃって…」

「みんなあまり聞いてくれなくて…」

「俺らの音楽って一時的ってことなの??」

「いえ…違います!全国にスピッツファンはいます!」

「そうなのかーでも、信じられないなーこんな地味なバンドなのに…」

未紀はニコっと笑って口を開いた。

「それは未来でのお楽しみですね。では!おやすみなさい」

「あぁ…おやすみ。」





「なんだ…?今の意味深発言は…」

えりんこ 著