スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

タイム・カプセル (作者:えりんこ)

タイム・カプセル 【15】

「今日はありがとうございました!しまいにはこんなことになっちゃって…
すいません…」

「いやいや…いつもああだから大丈夫だよ。こちらこそご飯ごちそうになっ
ちゃったし!ありがとう! じゃあねー」

「おやすみなさーい。」

アパートのドアを閉めた。未紀は体から一気に力が抜け、その場にしゃがん
だ。


「こういうときってお母さんだったらどういう風に言うんだろうなぁ…」

未紀は考えた。ふとその場にあった電話の受話器をとった。

「草野さん。ちょっと借ります!」

ガーガーいびきをかいて寝ている草野をよそに番号を押して、通話ボタンを
押した。






「プルルルルループルルループルルルルーツーッツーッツー」







やっぱり出ないよな…と思い諦めかけていたとたん、受話器の向こうから電
話に出る音が聞こえた。




「…もしもし?」



「あ!お母さん!」



「あれ、アンタ寝てるんじゃないの?」



「もー助けてよ!!」



「どうしたの?あぁ…まぁ分かったけどw」



「なんで?じゃあ私はどこにいると思う?」



「正宗さんのところでしょ?」


「なんでわかったの?」


「私も行ったからねぇ〜あーあの頃は若かったなぁー!」


「そうじゃなくて…どうしたらいい?」


「何が?」


「お母さんに会いたいってずーっと言ってるんだ。今酒飲んで酔っ払って寝
てる…」


「そっか…じゃあ、正宗さんに代わって??」


「はーい。」

えりんこ 著