スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

テレビ (作者:ひかる)

テレビ 【11】〜完結

その後の美加の頑張りようは、この町に広がり、隣町に広がり…
でも反比例して、美加のママに対する悪口も増えていった。


「どうして、あのうちは子どもが一人で働いているの?」
「親はどうなっているの?」
「親としての責任逃れ?」
「あそこの奥さん、汚らしいことばっかりしていたからねえ、しょうがないのよ。
美加ちゃんもキレちゃったのね。小さいのに、可哀相。」



私、‘かわいそう’って言葉がキライ。同情されるのもゴメンよ。
漢字でどう書くかはわからないけど。だって、それって見下されてない?
私ってそういう言葉以外では相手にされないくらい、残念な子だったのかな?
そんなことないと思うなぁ!
ママから離れたのは、わたし。そうよ、私は立派な大人になる!

なってみせるんだから!



味っけのない空気を吸い込んで、この煙たい世界に息を吹き込んだ。









「これでいいかなぁ。」


『テレビ』を書き終えた男が言う。


そうだ、ファーラーの子どもの名前はみんなに決めてもらおう。


不思議な名前にしてもらおう。


そうして、俺ららしく、歌っていこう。





あとがき
去年からこころに温めていた「テレビ」を用いて、
小さな小説が書けてよかったです。
この物語を、マサムネさんが考えながら作ったという、
もちろん「架空」のお話ですが…。

ちなみに、ファーラーの子どもの名前は、バーンにしようと思っていました。
ローマの休日のヒロイン、オードリー・ヘップバーンからと、
ビックバンから取って。
読んでくださった方がいたら、ありがとうございました。

ひかる 著