スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

テレビ (作者:ひかる)

テレビ 【4】

「なあに?これ・・・
美加は、本から目を離した。
目をパチクリさせていて、もう一度読もうと思っても
「だめだ・・・読めない!」
ファーラーはどうなったのだろう?赤ちゃんは、無事生まれたのかなあ。
ま、いっか。
倉庫から出て、家へ戻った美加は絶句した。
ママと知らない‘パパ’が、テレビの前で・・・・・・・・・。

「もうこんな家、戻らない!!」

倉庫にこもってやる、私も、本の世界に潜りたいよ!

分厚い本を開いて、目を凝らして見るが、わからない。
読めないのだ。
「いや、そんなのいやよ!
涙の潤った目で、悲しみの底にぶつかると
急にまたフワッとなって、今度は違う世界へと、美加も抜けた。
そこは、さっきまで見ていた本の世界だったのだ。



そばに、少し控えめに見える噴水があり、美加はなぜか
噴水の水につかっていた。
そこに城の中を散歩していたおじいさんに、助け?られた。
「どうした?なぜ、噴水の中にいる?
抱えあげられた美加は、訳もわからず「ごめんなさい」と言っていた。
「君の名前は?
「美加です。
「ミカか、変わった名前だね。
「おじいさんは?
「ああ、言いそびれてしまうところだった。デニー、この城に仕える者だ。
衝撃が走った。
じゃあ、私は本の世界に来れたのね?!

あの、ヘンテコな世界から抜け出せた!
そう思って、安心に浸っていたのだった。

ひかる 著