スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

魔女の印 (作者:ひかる)

魔女の印 【2】

「君」を初めて知ったのは、1年前


街のスポーツ大会でもしていたのだろう
ハタチを過ぎた男女が混ざって、キックベースでもしていた

やけに元気な子がいるな、と目で追っていたら君だった


僕は気が強くないし、話し掛けることができなかった

精一杯の一言「これ・・・」
差し出したのは、タオル
「ありがとう」微笑んで、そう僕に言ってくれた


泥まみれの 汗まみれの
そんでもって 短いスカートが

生まれて初めて感じた 新しい感情の世界、
皆が一度は 踏み入れる世界
砂漠のように渇ききったところを、
自分の想いで潤していく世界

そんな未開の地平まで、
僕を戻した。



それからは夢にまで出てきたりした

危なくなると、
チュ、チュとキスまでしているところだった

日に日に想いはつのった

でも、僕なんか・・・そう思うことしかなかった。


そんな時、君には彼氏がいないことを知った

あきらめていた想いが一気に上昇して、
その歓びはもう目の前にまで昇っていることに気づいた

走り出すピンク色のスポーツシューズが、
君の印

大きな広場を、誰よりも走りつづける、
そんな君を追いかけて、僕は
思いを伝えようと決心した

ひかる 著