スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

パーセンテージー紫陽花ー (作者:香夜)

パーセンテージー紫陽花ー 【2】

そのときから、ずっと気になって、
無意識に目で追ってて・・・

身体のどこからか、優しく、柔らかい
感情が生まれた気がした―



「美雨ー、今雨降ってるから、カサ忘れないでー」

「はーいっ」

6月の平日の朝、
私はお気に入りの水色のカサを手に、
「行ってきまーす」と、家を出た。



小雨だった。
少しばかりの雨粒が天から降り注がれている。

もう梅雨だ―


“あの人”は乗っているだろか・・・


私は胸を躍らせながら、バスに乗り込んだ。




「・・・あっ」

あまり混んでいないバスに乗り込むと
目の前には、



“あの人”が立っていた―・・・




私は逃げるように、出口に近い座席に座った。





本当はもっとずっと・・・

飽きるほど見ていたかった。







でもあれ以上見ていたら、

引き込まれそうで・・・
身体中が麻痺しそうで・・・


ちょっと怖かった―

香夜 著