スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

コスモス (作者:ゆうり)

コスモス 【2】

僕が桜を知ったのは高校に入ってから。
桜はちょうど僕の席の隣にいて、スポーツ万能そうだなぁ
とそれくらいしか思っていなかった。

実は僕の予感は当たっていた。
桜はバレーが上手かった。

スポーツが出来ない僕にとっては羨ましい存在だ。
そんな桜を僕は少しずつ好きになっているのが自分でも分かる。
だけど僕はどちらかというと大人しい性格だったから、話しかけるのに普通の人より勇気が多く必要だった。

話しかけたくても、話すことが出来ない。

そんな日々が長く続いて1年が経とうとしていた。

神様もさすがに我慢できなくなったのだろうか、
僕に桜と話すきっかけを与えてくれた。

僕と桜は同じ委員になったのだ。



委員会が終わった後、桜は初めて話しかけてきてくれた。

「ねぇ、いっつも思ってたんだけど何でそんなに頭いいの?」

「いや別に良くなんかないよ」

「そんなに照れなくていいよー!!」

「て、照れてないって。それよりバレー部なんでしょ?部活は無いの?」

「今日は休みなの。だから暇なんだよねー…あ、そうだ!!一緒に海に行かない!?」


えっ、そんな今日はじめて話した人と急に海なんか行くだろうか。
僕は正直そう思った。

「海?僕なんかでいいのか?」

「全然いいの!!じゃ、カバン持ってくるから待ってて!!」

「あ、いや、うん…」


行くんだったら僕の好きなスポーツカーでドライブみたいにして行きたかった
と思ってしまっていた。

「まぁ、運転できないんだから仕方ないな」

小さな声で呟く。

まるでデートのようだけど、違うんだから。
だからここで変にテンションを上げないように少し努力をすることにした。

何とか僕のことを知ってもらいたいと強く願い、桜が帰ってくるのを待った。

ゆうり 著