スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

UFOの見える丘 (作者:ひかる)

UFOの見える丘 【3】

そういうことか。
ようするに、UFOが見える丘に行きたいわけだ

「じゃあ、連れていくよ。『UFOの見える丘』に。


今、未確認飛行物体を見た。それだけで十分。
UFOが見えるところすらないだろうに、丘と指定までされると・・・

適当に連れ出そう、とにかく。



いろいろ歩きながら話を聞いているうちに、だんだん
シェリーのモチベーションを上げることに精を出すようになってきた。


せっかく地球に来たんだし、驚かされただけだとなんだか損した気分。


「「そういえば」」

「えっ、何?
「いや、翔から言って。
「いや、いいよ。せっかく地球に来たんだし。
自分でも言っている意味がわからなくなっていた。

わかった、と答えてシェリーは質問をしてきた。

「この惑星はなぜ?
 さっきから、黄色いものが上で光っては動いているわ。
「ああ、あれは月って言うんだ。ウイリーにはないの?
「ないわ。いつも霧がかかっていて、緑色のような、灰色のような色をしている
「他に色は知らないの?
「色?

と、まるで幼い子供に常識を据え付けるように一つ一つ教えていく

シェリーの話によると、色という言葉も知らなかったそうで。
説明すると「緑色」と「灰色」しか知らなかったみたい。

「月は黄色いよね。だから、「黄色」
「あれが黄色・・・この惑星は、動いている?
「ああ、時間?言いたいのは、時間が流れていってるってことだよね
「ジカン?
「そう。ウイリーに時間とか時代はないの?
「ジダイ・・?
「うーん・・・そう、簡単に言ったら「時」だ。
「・・・ああ!エトランゼ様がいつの日か言っていた気がする・・・。
 私は確か・・・
「確か?
「5万年前に目を開けたらしいわ。
「ごごご、5万年?!!
「ここではめずらしいのかしら?
「5万年間も生き続けるやつなんていないよ
 せいぜい100年だろ。
「100年かー・・・よくわからないわ
「とにかく、生き物には死があるってことだよ
「死?
「そう。いつか死ぬのさ。心臓が止まって、息をしなくなる。
 魂だけがあちこちをうろつくんだ
「生き物が死ぬと、どうなるの?
「周りの人は悲しむだろうね。涙を流すよ。

シェリーは知らないことが多すぎる。
少しでもわかりやすいように説明しようと心がけた。


悲しいときに流す、
「なみだ・・・」か・・・。

ひかる 著