スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

群青 (作者:金魚)

群青 【2】

事務所から古いアパートに帰るところだった。

あちこちから聞こえる人間の声。
楽しそうにはしゃぐ子供、
自転車に乗り、楽しそうに話しながら帰る学生達・・・

みんな未来がある奴らばかりだ。

すこしだけ、うらやましさをおぼえた。

ふと、俺は近くの河原に座ってみることにした。
別に意味はないけど、川が見たかった。

草が生えた場所に腰掛ける。
目の前には沈みかけた夕日があった。

ランランと輝くオレンジ色の夕日。
その美しさは、よけいに虚しかった。

なぁ、俺の人生はこのままおわっちまうのか?
いつまで俺は、この日々を送るのか?

だれも答えてくれない質問を自分になげかけてみた。
もちろんこたえるはずはない。
自分自身もわかるはずないんだから・・・

そのときだった。


「きゃぁー!」
大きな悲鳴とともに、俺の上に何かがのしかかってきた。

金魚 著