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新田姉弟の生活 by えりんこ


新田姉弟の生活 【9】


「じゃあ、まずはお弁当食べよっか♪」

「せぇーの!いただきます!」

お弁当のふたが開いた。陽子は麻奈の弁当箱を見て口をあんぐりとあけた。

「あの…これ、何?」

「え?伊勢海老だけど…それが…?」

「イセエビって何?」

「伊勢海老知らないの?食べたことないの?」

「食べたことあるというか…見たことないよな〜カツ!」

「こんなでっけぇエビは見たことない!」

新田姉弟は伊勢海老に興奮気味だった。

「と、とりあえず食べよう!」

「そうだね〜ごめん!」

仕切りなおし、お弁当を3人そろって食べ始めた。


すると、一番最初に食べ終えた陽子がギターを持ち出し膝の上にポンと置いた。

麻奈は克利に聞いた。

「君のお姉ちゃん何すんの?」

「あんね!歌うんよ! ギターも弾くんだよ〜」

「へぇ…」

麻奈も食べ終え、しばらく準備している陽子をずっと眺めていた。

「??どうした?」

「いや…なんかギターなんで持ってるかな?って思って。」

「これはね、お父さんにもらったん!これなきゃ生きてけないや…あまりこの話するとカツが泣いちゃう。」

「…姉ちゃん、もういい?終わった?」

麻奈に説明している間、克利はずっと耳に手を当てて話を聞かないようにしていた。

しばらく沈黙が続いたが、陽子が仕切りなおした。


「気を取り直して、早速弾いて差し上げましょう!あなたのために〜」
「お願いします!」






   あなたのことを


   深く愛せるかしら?


   子供みたいな光で僕を染める



ギターの音色と共に陽子の歌が耳に入ってくる心地よさを麻奈は肌で感じた。

校庭では、克也がギターの音に耳を澄ませていた。
なぜだかしれないけれど、足が勝手に上へ上へと歩き始めた。

えりんこ 著