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スピカ by 朱音スピカ 【2】“始まりの瞬間”なんて、本当は誰も告げてくれないのかもしれない。 自分で気づいたときが始まりなのかもしれない。 少しだけの変化を目に留めた瞬間それは彩を失って、 当たり前になってあたしの記憶にインプットされていくのかもしれない。 焦燥を感じるのはどうしてだろう。 当たり前の事実なんて、きっとどこにもないよ。 人が決めたことに流されて、生まれてしまうニセモノだから。 俯いたら履き古したローファーの革が痛んでできた、いくつもの小さな傷を見つけた。 ああこんなに時間があるなら、もっとゆっくり坂道を登ればよかったな。 あんなに必死で登らなければ、もっとたくさんの景色が見えたかもしれない。 見つけなければ見つからないものを、ちゃんと見ることができたかもしれないのに。 ひとつひとつの変化をちゃんと感じていたいよ。 大人になってどんなに余裕をなくしたとしても、それくらいには。 昨日の夜は一体何を考えていたんだろう。 カーテンを閉める前に見つめた窓の外には、星がたくさん瞬いていた。 参考書を広げてこれから先に役に立つか判らない知識を詰め込みながら、 ひとりでいることが心強くて、そしてとても怖いと感じていた。 何に対して祈っていたのか判らないけれど、解き放って欲しいって思っていたのかもしれないね。 やっぱり朝は嫌い、弱さを暴かれるみたいで怖い。 いつも頭の中で描いている妄想と現実とのギャップを、目の前に突きつけられる気がして。 早く夜が来て欲しい。 恋焦がれるみたいにそればかりを願う。 生温い風が吹き抜けて、シロツメクサが揺れた。 自分でも理由は判らないけれど、なんだか泣きそうになった。 空想のままじゃなくて、ちゃんとしたカタチが欲しいんだ。 〜完結〜 朱音 著
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