スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

夢の世界へ行けたから (作者:笑顔)

夢の世界へ行けたから 【14】

痛みが止まない。
嫌な予感が的中した。

『現二さん…。』

『秋人君!!!!』

『ごめんなさい。…上を見て。』



『…なんなんだよ』

秋人君がいた。
さっきの目に光のない秋人君。

『ごっめぇん。もう一人の秋人、盾にしちゃった。』

笑いながらそういった。
僕の頭に、怒りが走った。

『…ふざけんな…』

『は?聞こえませんけど』

『ふざけんなよ!!』

『言うねぇ…』

僕は、自分が情けなく思った。
こんなんで怒ってたら、自分が自分じゃなくなっちゃう…。
分かってるけど、怒りなんて我慢できない!!

『かかって来いよ、次森現二!!』

僕はもう一人の秋人君をにらみつけた。
足の痛みが激しくなってきた。けど、空へと飛び上がった。
剣を大きく振りかぶって、秋人君に向かって放った。

『同じ技でかかってきてもさぁ、僕そんなに馬鹿じゃないんですけど。』

『秋人君の心って、怖いね。』

思わず口に出してしまった。
僕から見て、本当の秋人君は、かすかに微笑んだ。
それを見つめて、涙かがまたこぼれた。

『早くかかって来いよ!!現二さん!!』

『本物っぽく言わないで。』

『はぁ?嘘も本当もないでしょ。僕は僕、蘭 秋人だよ。』

僕がその言葉を聞いた後、
落ち着くために深呼吸をした。
…よし、これで外れたら、すべてが終わりだ。
でも、頑張る。
すべての力を剣へ託した。そんな気分。
僕は秋人君に向かって、剣を振りかぶった。

『…やっぱりそう来るよね』

そういいながら、もう一人の秋人君は
巨大な光りの中に姿を消した。

『秋人君!!』

僕は秋人君に駆け寄った。
まだ息をしてた。

『…現二さん。…』

『うん?』

『僕を…置いて行って。』

『え??』

秋人君を見つけ出す事がミッションだった。
クリアーしたけど、でも、
置いていきたくない。

『ううん。置いていかない。』

『…僕、立てません。足手まといになります…。自分に負けたし。』

『ううん。そんな事ない。』

『置いていってください!!』

この姿の秋人君から、信じられないほど大きな声で言われた。
…僕は、秋人君の言葉を聞いて、足の痛みをこらえてたった。
深呼吸をしながら、僕は天使の姿からもとの姿に戻り。
足の痛みが走った。でも、気にしない。
僕が秋人君に触れたら、大きな光りが二人を包んだ。
優しくて、温かい。痛みが消えていく。

笑顔 著