スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

ガーベラ (作者:ぽわん)

ガーベラ 第7話 【幸せ】

僕は本当に幸せだった。

あっという間の時間だったけれど・・・・・・。



「ただいまぁぁ!!!!」
走りながら大声で桜田が戻ってきた。

「おかえりなさい。」
笑いながらいつもの通りの小声で花音が言う。

「花音!!!手にもってるの何!?」
どうしてこういうことには目ざといんだ。

「白河君に・・・・・もらったの。」

「えぇぇぇぇえぇ!!!いつの間に!!!!」

僕は恥ずかしすぎて花音から離れ、一人川の近くに行った。
だけど嬉しかった。花音のあんな嬉しそうな顔、初めてだったから。

「可愛いーー!!すごーい!!センスいいじゃあん!!!あたしのいない間に!!
やるなーっ、このこのぉ!!!」


気づけば辺りはもう真っ暗になっていた。星が見える。

「うるせーぞ桜田!!ほら、星でてきてんぞ!これ見るためにいたんだろが。」

「ほんとだぁ!!きれーっっ!!ね、花音!」

「うん・・・すごく綺麗・・・・!」

星を見上げていると、花音が横にすっとやってきた。
そして僕の腕をそっとつかんできた。
ドキドキして、星がチカチカして見える。桜田が後ろでヒューヒュー騒いでるのは
聞こえないことにする。

「楓・・・・・。」

「えっ?」

「楓って、呼んでいい・・・・・?」

「えっ・・・・えっ?」

「呼びたかったんだ、名前で。」

「・・・・・そうだったの?」

「うん、なんか恥ずかしくて言えなくて。」

「そっか・・・・・。」

「楓・・・・?」

「はい・・・?」

「好き・・・・。」

「うん・・・・。」



「僕も好きだよ」
嬉しすぎて、恥ずかしすぎて、幸せすぎて、言えなかった。

ぽわん 著