スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

ガーベラ (作者:ぽわん)

ガーベラ 第6話 【贈り物】

早く行った方が、いっぱい遊べる!!ということで(桜田談)
朝の6時出発のバスにゆられて1時間。

綺麗でおっきな川が流れていて、緑がいっぱいの!!
山の名前は知らないけど、街からみた景色が一番綺麗な山?(桜田談)
に行くことになった。

バスから降りると、
街にいれば、太陽がジリジリ射して蒸し暑くてだるい・・・はずだけど
やっぱり木や、草、花、そして川の流れる音の中にいると、気持ちが良かった。


「白川くん、見て。川、キラキラしてる。キレイだねぇ・・・・・・。」


花音の制服以外の姿を見るのは今日が初めてだった。
薄いピンクのワンピースに、白いレースのカーディガン。
小花の柄の、新品のように綺麗で小さなサンダル。

僕は白いTシャツに、ヨロヨロの半ズボン。
白い靴下に、これまた汚いスニーカー。
もっといいものを着てくるべきだった。

「水に足、つけてみる?」

「うん。」

「大丈夫?手、ほら。」

「あ、ありがと・・・・・。」

花音の小さな手を握った。 胸の高鳴りが速くなっていた。


『ピューッッ』

「なっ!?」

冷たい水が頬にかかった。
桜田がニンマリしてこっちを見ている。片手には水鉄砲だ。

「てめぇ・・・・・!!」


もちろん、しばらく3人で水鉄砲での戦いになった。

昼は花音の手作り弁当を食べ(食べるのがもったいないほどうまかった)

川の近くで涼みながらレジャーシートの上で昼寝したり、

森の中を探索して、見たことない植物や、いかにも怪しいキノコを見つけたり、

楽しくて、楽しくて、時間がたつのはあっという間だった。

今日は晴れてるから、星を見てから汽車で帰ろう。

ということになった。


ちょうど7時・・・・・桜田がトイレに行くと僕らから離れた時だった。

今しかない・・・・・・・。そう思って、川を眺めている花音の横に座った。

「あのさ!!」

「ん、なぁに?」

「これ・・・・・・プレゼント・・・・・・。
その、花音の好みとかわかんないからさぁ・・・。気に入らないかも・・・・ですけど」

「開けていいかな?」

「うん・・・・・・。」

心臓が爆破しそうだった。
中身は、ちょうど花音の着てる薄ピンクのワンピースと似たような色の、
小さなハートが2つ、チェリーのようについたネックレス。
 
買う時も女ばかりの店に入るのはかなりの勇気だったし、
ラッピングも本当は可愛くしてくれるはずなのに
恥ずかしくて袋に入れてもらっただけだ。

「わぁ・・・・・!かわいいー!!」

いつもよりずっと大きな声で、驚いた。
花音は本当にうれしそうだった。


僕は本当に幸せだった。

ぽわん 著