スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

ガーベラ (作者:ぽわん)

ガーベラ 第1話 【最期】

桜田未央(サクラダ ミオ)

彼女はいつものように目を覚まし、

角砂糖を3個入れた熱いコーヒー、カリカリに焼いたトースト。

簡単な朝食を作って食べた。

生ぬるい湯で顔を洗って、いつもより控え目なメイクをした。

いつものように、大学への道は5分とかからなかった。

朝からイチャついているカップルを横目に、校内へ入っていた。

いつも通りに長い講義を聞いて、時間をやりすごした。

何度も何度も、時計と教室のドアをチラチラと見た。

昼食を、友達からの誘いを断って一人、校門に一番近いベンチで座って食ようとした。

せっかく買ったパンは、喉を通らずに乾いていった。

午後1時00分 授業が始まる5分前のチャイムが鳴り響いた。

彼女は静かに目を閉じた。

そして一人、誰よりも大きな声で、だけど静かに涙を流した。

ぽわん 著